1/13/2010

叶恭子さんの本


理論社から出版されている「よりみちパン!セ」という思春期のこどもたちにむけた本のシリーズがあります。
神戸のVivovaさんでズラッと並んでいて、その場で読みふけり、1冊、また1冊と買い続けてしまっているシリーズです。



ラインナップはこんな感じ・・・

・中村うさぎ『こんな私が大嫌い』
・みうらじゅん『正しい保健体育』
・しりあがり寿&祖父江慎『オヤジ国憲法でいこう!』
・伏見憲明『男子のための恋愛検定』
・森村泰昌『「美しい」ってなんだろう? 美術のすすめ』
・西原理恵子『この世でいちばん大事な「カネ」の話』
・千木良悠子&辛酸なめ子『だれでも一度は、処女だった。』

そうそうたるおもしろメンツですよね?

このシリーズの中で、特筆すべきが、叶恭子さんが書いた

『叶恭子の知のジュエリー12ヵ月』。

ふざけた内容ではないんです。名著です。

冒頭はこういった言葉ではじまります。

「わたくしは自分の価値観で生きています。
いろいろなことを言われているのは知っていますけれども、
それによってわたくしの価値観や生き方を
変えるつもりはありません。たとえ、そのことによって
誰からも好かれないとしても、かまわないのです。」


特殊な環境で、僕らと交わることのない特殊な人生を送っているはずの彼女の言葉は、
なぜだかとてもためになり、心にしみてくるのです。

思春期の子どもの悩みに対して、決して茶化さず、真摯にこたえています。
編集の方の力なのかは分からないけれど、
芸能人の出すうすっぺらい内容のエッセイ本でも、
ちまたにあふれる宗教やビジネスの自己啓発本とも違ったものとして完成しています。

彼女の基礎にある価値観や強さから派生した文章は
どん底だと思ったときや、どうしようもなくひとりぼっちの気分になったとき、
あたらしいことをはじめようと勇気が必要なときに、そっと支えになってくれます。

自分を取り巻く環境を嘆いたり、他人と比較することで卑屈になってしまうことがあります。
このような凛とした態度と意見を持った大人が、自分の思春期の時に、そばにいてくれたらどれだけ心強かっただろうと思いました。

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